逆に、速く言いやすい言葉を作る

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正直、あまりウケはしないのですが、「高速で『治部煮(じぶに)』と言う」という持ちネタがあります。治部煮とは、金沢の郷土料理です。

なぜか、「ジブリ」だとダメなのです。あくまで「治部煮」。わたしはふしぎでたまらない(by金子みすゞ)。

よっしゃ!とひらめいて、どんな言葉が言いやすいのか調べることにしました。ついでに、速く言いやすい言葉も作りましょう。早口言葉の逆ということで。

高校時代、セツナレンサ(RADWIMPS)のラップを二倍速で言えないか全力で試した人間の腕の見せどころです。

母音をなくしてみる

とりあえず、母音をなくしてみようと思い立ちました(大雑把に言うと、母音とは「PA・PI・PU・PE・PO」の「A・I・U・E・O」に当たる部分です。Pの部分は「子音」)。

ラップを練習するとき、英語で母音がない部分は速く言えた経験があるからです。例えば、「スター」は「ス・タ・ー」と発音しますが、「star」なら「st」を一気に発音できます。

子音に当たるアルファベットを全部発音して、単体でも日本語の音に聞こえるものを探した結果、b・d・f・g・k・n・p・s・t・zが残りました。それぞれ、ブ・ド・フ・グ・ク・ン・プ・ス・ト・ズ です。

これで作れる言葉……

……フグ毒。

フグ毒フグ毒フグ毒と、何度か唱えてみました。唱えてみたのですが。

「フグ」の部分が言いづらいんですよね。ウ段(ウクスツヌフムユルウグズヅブプ)が続くからでしょうか。

この後「督促」も試してみたのですが、「フグ毒」より言いやすかったです。「起伏」はダメでした。「督促」、「ソ」が入っているのに言いやすいということは、多少違う文字を使っても大丈夫ということ。逆に、同じ段の音は避けた方がいいのかもしれません。

どの母音が続くと言いやすいのか

同じ段の母音が続いてはいけないということは、母音のつながりによって言いやすさが変わるということ。どのコンボが言いやすいのか実験してみることにしました。

「治部煮」の「ぶに」があるので、バ行とナ行で試します。「バナ」「バニ」「バヌ」……と言っていって、言いやすさを5点満点で評価しました。

その結果がこちら。

見やすいように、5に○、4に□をつけています。✓と^は何だったか忘れました。

子音の種類によっても話は変わるでしょうから、本当は全てのひらがなで試したいところだったのですが、3時間ほど意味のない言葉を言い続けなくてはいけない計算になったのでやめました。

バ行とナ行以外でも同じ結果になると仮定して、母音ごとのつながりを表にしたのがこちら。

どことなく中学生が書いたような雰囲気が漂っていますが、こうなりました。aはア段、iはイ段……です。普通の矢印が5点、点線の矢印が4点だったつながりを表しています。

5点の矢印だけをたどるとすると、eiuiuiuiu……uio という言葉を作れば良さそうです。eとoはなくても可、iは続いてもOKで。

ナイスガイの発見

iuiuiu……に使える言葉を探していて、ふと「ナイスガイ」という言葉に思い当たりました。

「ナイスガイ」の母音は、言わずもがな「aiuai」。それなのにすごく速く言えます。

何度か唱えてみて、「ナイ・ス・ガイ」と3拍で言っている自分に気づきました。「nai」の「ai」を1つの母音として捉え、一気に言うことができるのです。思い出しました。こういうの、あります。二重母音と呼ばれるやつです。

となると、「ナイスガイ」の母音は「ai・u・ai」。iで終わる・u・iで終わる。iuiの型にはまっています。これもありにしましょう。

(ちなみに、英語の二重母音は数種類だけですが、今回は母音が2つ繋がったら全部二重母音という判定にしました。英語で使われていないだけなのか、やってみたら全部できたからです。)

画像が少ないので、「ナイスガイ」と検索したら出てきたフリー素材を貼っておきます。

タ行とダ行が良さげ

少し話はさかのぼって。

「フグ毒」のとき、他にも何かないかと思って試しているうちに、「ジキジキ」がすごく言いやすいことに気づきました(「ジキジキ」が何なのかはわかりません)。

同じ2文字を繰り返すのがいいのかと思い、他にも試してみた結果、「ドコドコ」や「グティグティ」も言いやすいと気づきました。さらに、「サン゠テグジュペリ」の「テグジュ」も。

「タティトゥテト」や「ダディドゥデド」が他の文字にはさまると、言いやすくなるようです。

チ・ツ・ヂ・ヅは発音すると意外と言いづらいのですが(厳密には子音が違うとか? tiじゃなくてchiだし)、ティなどで代用できることにしましょう。また、ヂ・ヅと発音が同じ(なのかわからないけど私は区別していない)なので、ジ・ズも言いやすい文字に含めます。

速く言いやすい言葉はこれだ!

今までにあげたルールに加え、「ッ」「ン」は言いづらいということも、いろいろ試す中でわかってきました。

整理すると、

  • eiuiuiuiuiu……iuio という文字の並びがベース
  • iの代わりにai・uiなどの二重母音を使うこともできる。もちろんuの代わりにauなども可
  • タティトゥテト・ダディドゥデド・チ・ツ・ヂ・ヅ・ジ・ズは好きなところに挟み込んでOK
  • ッ・ンは使わない

こうなります。

このルールに則って、文章を作りました。……難しかったです。上のルールに沿った単語、意外とありません。しかも、ルールに当てはまっていても、なぜか言いづらい言葉もあるんです。「節々」とか。ラ行が入ると、場合によっては巻き舌でプルプル言ってしまってタイムロスするとか。

それでもなんとかひねり出した言葉がこちら。

次千葉行く月近い

肉つき指が痛い スリムにスキルを

これが早口言葉に代わる、新時代の「速く言いやすい言葉」です。

言葉遊びが好きなので、こういうのを考えることには慣れているはずなのですが……久しぶりだったのと、意外と縛りがきつかったのとで、かなり疲れてしまいました。自分で作る場合は、覚悟してくださいね。言葉遊び好きの読者が一人ぐらい作りそうな気がする。

二重母音使いまくったら?

ところで、「速く言いやすい言葉」の「速く」とは、どういうことなのでしょうか。

漠然とスピードのことだと思っていたし、「次千葉行く月近い」は相当速く言える言葉だと思います。ただ、厳密に定義するなら、それは「1秒当たりに言える文字数が多い」ということになる気がしてきたんです。

……じゃあ、「チョウ」とか最強じゃないの?(3文字なのに二重母音なので一瞬で言える)

延長戦です。iuiuiu……の流れはそのままに、必ず二重母音を使うことにします。しかも、uのところには、「チョウ」「キョウ」などの3文字ある音をはめ込みます。(iのところも3文字にしたいのですが、「キャイ」とか「チョイ」とか使いづらい音しかなかったので諦めました。)

これが、意外と出ました。漢字2文字の熟語がたくさんありますし、あいうえお表を使って「ショウカイ……ショウキイ……ショウクイ……」などと辿れましたし。「次千葉行く月近い」を作ったときより、なぜかはるかに楽で。

そして完成したのが、

ヘイ兄弟ちょうだい招待状 会長提供会場最上階 ショータイム

……

……言えない!

これ、めっちゃ言いづらい!!!

言いづらい言葉になった

なぜでしょう。理論上は非常に言いやすいはずなのに、すごく言いづらい言葉になってしまいました。嘘だと思うなら言ってみてください。ゆっくりなら楽に言えるはずですが、二重母音を1音で言うことを意識すると難しくなります。

もしかして、これ、早口言葉?

似た音が並んでますものね。だってiuiuがいいって結果が出たから。5点満点中4点でも、aとかランダムに挟むべきだったのでしょうか。

あとですね、単純に長くて無理です。

ごめんなさい、わざと書いてませんでした。「次千葉行く月近い」のあたりから、気づいてました。いくら言いやすくても、長い言葉、無理です。

「次千葉行く月近い」も、「肉つき指が痛い スリムにスキルを」も、はっきり言って練習してます(し、噛んでるように聞こえるのが録音環境のせいだけじゃないこともわかっています)。なんなら、その過程で「フグ毒」も「ジブリ」も「治部煮」ぐらい速く言えるようになりました。

速く言いやすい言葉を生み出すつもりが、「練習すれば時間当たりの文字数がめっちゃ短縮できる早口言葉」になってしまいました。非常に残念です。

練習すればいいじゃない、との声が聞こえそうですが。

こんなもの練習するくらいだったら、私、英語ラップを練習します。

書いた人

朽羊歯ゾーン
朽羊歯ゾーン
くしだ ぞーん。年に数回、知らないおばさんに話しかけられます。人の顔を見分けられないので、私に会うときは毎回着ている服をお知らせください。以前は城島茂とキムタクを自信たっぷりに間違えました。よろしくお願いします。

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Posted by 朽羊歯ゾーン